2023年B3学生配属

2023年B3学生配属のための説明ページです。私たちは,情報工学技術や知識工学技術を駆使し,さまざまなメディア(テキスト,音声,画像,動画,センサーデータ等も含む)を対象としたデータ分析をもとに,人間の活動を支援するための新たな情報環境を研究開発しています。

もし興味を持ったなら,ぜひ一緒に研究しましょう。

質問は、羽山(t-hayama@kjs.nagaokaut.ac.jp)にメールしてもらえれば,回答します。また,希望すれば,研究室の学生とのお話や研究室見学することができます。

現在,研究プロジェクトは,主に以下の5種類になります。皆さんが配属後に取り組む研究テーマについてはお話しながら,興味のある研究テーマを一緒に見つけ,取り組んでもらいたいと思います。

  • ウェアラブル型/カメラ画像解析型の人間の行動を認識する技術,およびその応用システムの開発

人間の行動や振舞いを情報技術で認識し,個人に適した新たな情報サービスに利用しようという試みは,ヒューマン・インタフェース分野において,重要な課題のひとつです。そのような分野を人間行動認識(Human Activity Recognition)という分野で,センサーを身につけて取得されたデータから,その人が何をしているのか認識したり,カメラで撮影された動画を解析することで,そのなかに映っている人が何をしているのか認識したり,するような技術を開発しています。

アプリケーションと人間の対象活動を決めて,人間の活動が含まれた大規模なデータを収集し,それをもとに高精度な識別モデル器を開発することに取り組みます。

具体的に,ウェアラブル型なら,対象活動中の加速度センサの時系列データを取得し,データをクリーニングするためのフィルタ等の事前処理をし,機械学習(深層学習やクラスタリング等)により,対象行動を高度精度に認識するための手法を開発します。カメラ設置型なら,対象活動を含んだ動画データを収集し,機械学習を適用することで,その精度を高める方法を開発します。

  • 学習状態に基づく適応型eラーニン支援グシステムの開発

eラーニングはオンラインサービスにとどまらず,既にクラス授業にも導入し活用されています。しかし,学習者が興味を持って学習に取り組んだり,満足を得て学習したり,するための情報教育環境についてはまだ十分に検討されていません。

新たなeラーニングシステムとして,オンライン学習/クラス学習のなかで,学習者の状況や性質にに応じた学習環境を提供するための学習支援システムの開発を目指しています。

具体駅に,研究では,プログラムを使って,eラーニングシステムを構築し,現状のシステムの問題点を解決するためのインタフェースとフィードバック機能を拡張していきます。現在の学生が取り組んでいる研究テーマは,学習コンテンツごとの概念マップを用いた理解度の推定と振返りを支援する機能の開発です。

  • 屋内位置情報に基づくユーザの状況に応じたサービスの開発

位置情報サービスはユビキタス環境やIoT環境を実現するうえで,重要な要素技術のひとつです。これまで,屋外ではGPSを用いた位置測定技術が主流で様々なサービスが実現され,特に,ユーザのコンテキスト(行動の文脈)に基づいたサービスは,各ユーザの状況(位置や時間,習慣,嗜好など)に適応した情報提供サービスが開発されてきました。しかし,屋内では位置情報を基づいたユーザコンテキストに基づいたサービスがまだ発展途上段階であるといえます。またGPSでの屋外位置測定と異なり,屋内位置測定は,生活習慣や嗜好性などのユーザコンテキスト情報も,より精緻に扱うことができるはずです。

高精度な屋内位置情報を利用して,屋内でのユーザの活動の文脈に応じ,日常的に気付きにくい点に気づかせたり,日常生活に役立つような情報提供サービスの開発に取り組んでいます。

具体的に,研究では,プログラムを使って,UWBセンサを使って高精度な位置情報(誤差50cm程度)を取得し,データベースにデータを蓄積します。それをもとに,日常的に有用なサービスを実現するために,位置情報データの分析手法やインタフェースを開発していきます。今年は,屋内オフィス空間での活動パターンの分析と推薦サービスの開発に取り組んでいます。

  • SNSの情報拡散現象の分析と予測

SNSは既に,口コミ・プラットフォームとして定着しています。口コミは古来から,文化や生活,市場や政治など社会に大きく影響を与える情報拡散行動であり,それがアプリケーション上で行われることで,口コミデータを大量に収集し,定量的に情報拡散現象の分析が可能となりました。しかし,口コミが情報拡散する現象は複雑であり,それが発生する条件や相乗効果など未知な要因が多くあり,分析手法も確立されていません。

大量の口コミデータとそのユーザデータをもとに,統計的にモデリングを行い,情報拡散現象が発生する仕組みを解明し,その現象を予測するための方法を開発しています。

具体的に,研究では,文献調査をしながら分析対象(仮説)を設定します。次に,プログラムを使って,SNSデータを自動収集し,それを統計的手法(機械学習法や時系列分析)に適用することで,情報拡散に寄与する部分(仮説に関係する部分)のモデルを構築し,シミュレーションによって分析します。

  • マルチモーダル情報分析に基づく創造的対話の解明

人間の社会活動において,対話によるコミュニケーションは欠かせないものです。グループ学習や企業でのプロジェクト活動,営業活動や就職インタビューなど,対話によって何かを成し遂げることは必須といえます。しかし,そのようなコミュニケーションの役割や機能については未知な部分が多く,単なる対話テキスト分析でも解明できない事象が多々あります。そこで,コミュニケーションを促進する,非言語情報である複数のモダリティ情報(マルチモーダル情報:身体動作,語気の強さ,声のトーン,会話ターン等)に着目し,創造的な対話を解明しようとしています。

具体的に,研究では,文献調査をしながら,仮説を設定します。次に,プログラムを使って,対話中の音声,映像を解析し,マルチモーダル情報を抽出し,仮説(例えば,情報伝達力の高さ,対話学習力の高さ)に帰着するような統計的な識別モデルを機械学習法等により構築します。今年はオンライン対話を中心に取り組んでいます。

研究室での活動

特に研究室のルールはないのですが,主な活動としては以下のような感じです。

  • 研究室ゼミは週1回1対1対話形式が基本で,学期末に全体発表を実施しています。基本的に土日,夏休み,冬休みは休みです。
  • 修士課程では,年1回の学会発表を奨励しています。学会は情報処理学会や電子情報通信学会等の,各研究分野の研究会に参加します。そうすることで,研究スケジュールが立てやすく,修士論文の執筆も非常に容易になります。また,国際学会の機会も用意しています。
  • 自己管理が難しい人(私も)は研究時間を含めた生活習慣作りが必要です。そこで,自分で研究室で研究する時間帯を決め,その時間帯を研究室で過ごすことを奨励しています。自己管理なので,教員は一切把握しません。用事や体調が悪いなど,自分で判断し休みます。現在の研究室では,平日3~4時間に設定する学生が多く,なかには自宅のみで研究している人もいます。

Q & A

  • Q: 研究活動は、何をするのか?
    • 研究は、まだ解明されていないことについて仮説を立て、検証し、論文化して人間の英知に貢献していく活動です。仮説を立てるためには、先行研究を踏まえたうえで、更に何を解明するといいのかを考えていきます。検証では、その仮説を確かめるために、システム環境や処理の手順をプログラミングにより、具現化し、仮説の正しさを証明します。論文化ではそれら成果を論文形式で文章を執筆し、学会で発表します。卒業論文、修士論文、博士論文は、そのような活動をまとめたものになります。研究室では、そのような研究活動が達成できるようにサポートします。

      ただし、みなさんが取り組む研究テーマについては、みなさんが興味のあるもの(対象だったり、技術だったり、得意なことであったり)に基づいて決めていきたいと思っています。特に研究成果を想像したときに、面白そうと思えることが大切だと思います。

  • Q: プログラミングスキルは必要か?
    • 必要です。ただ、苦手意識さえなければ、研究室配属されてから頑張るでもいいと思います。